株式会社中央設計技術研究所

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最善の一手は何だ――。
問題の本質を追求した
改築・更新案を提案。
京都府 京都府営水道事務所
石川県珠洲市 地域創水で、地方創生を。

Waste disposal / Environment

最善の一手は何だ――。
問題の本質を追求した
改築・更新案を提案。

DATA
場所 石川県珠洲市
年度 2021.8~
実施形態 機械設備改築更新実施設計
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PROJECT MEMBER
中川 嘉文
中川 嘉文
技術統括本部 施設部 副部長

2005年4月入社。
北海道大学工学部資源開発工学科卒。
北海道大学大学院工学研究科社会基礎工学専攻修了。
東京や大阪などの水再生センターなどの担当技術者を務める。技術士(上下水道部門・下水道)。

北川 友保
北川 友保
技術統括本部 施設部 課長補佐

2014年4月入社。
富山大学工学部電気電子システム工学科卒。
技術者として大阪や石川県などの浄水場・下水処理場などの設計業務を幅広く担当している。

西出 怜央奈
西出 怜央奈
技術統括本部 施設部

2021年4月入社。
中部大学応用生物学部環境生物科学科卒。
技術者として羽咋浄化センター汚泥処理棟改修基本設計業務などを担当した。

  • WHY なぜやるのか
    どのような課題が
    あるのか?

    • バイオマスメタン発酵施設では、メタンガスを取り出した後に残った
      汚泥を乾燥させて造粒し、たい肥化していた。その製造工程で貯留
      ホッパ内の汚泥が硬くなり、排出されないトラブルが頻繁に発生。
    • 造粒工程でも品質が安定せず、時に排出詰まりも起きていた。
  • HOW どうやるのか
    どのようにしたいのか?

    • 対象設備の改修・更新を含めて予算内でトラブルを解決する。
  • WHAT なにをやるのか
    CSEが提供した手段とは?

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WHY
どのような課題があるのか?

過度の乾燥が招くトラブルが
効率性や品質の安定性を阻害

CSEが提案する技術力の一つに、下水道汚泥やし尿、浄化槽汚泥、生ごみなどを混合処理する「バイオマスメタン発酵システム」がある。廃棄物を生物由来のバイオマスとして活用しており、発酵によって発生したメタンガスをボイラー燃料などのエネルギー源として使い、残った汚泥は乾燥させて肥料化している。
能登半島の先端に位置する石川県珠洲市は、2007年9月からこのシステムを導入した処理施設を本格稼働させている。CSEは地域密着型コンサルタントとして珠洲市の下水処理事業をサポートしており、設備機能を診断・評価しながら長年にわたって計画的・効率的に管理するストックマネジメントに携わっている。2021年8月にプロジェクトが始動した機械設備の改築・更新業務もその一環だった。
この時、問題視されたのは肥料化に関わる工程だ。メタンガス発生後の汚泥は乾燥機で余分な水分を取り除き、貯留ホッパを通して搬出コンベヤに乗せて運ぶ。その後、造粒機で適度な大きさに加工し、袋詰めして出荷するのが一連の流れだ。ただ、乾燥した汚泥が貯留ホッパの排出口でアーチ状に固まるブリッジが発生するトラブルが、頻繁に発生していた。原因は、汚泥の一部が過度に乾燥することだ。ブリッジを破砕するため、水を加えたり、ホッパをたたいたりするなど、維持管理者には多大な労力がかかっていた。しかも、含水率が一定していないことから造粒工程でも品質が安定せず、排出詰まりなどの課題もあった。

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HOW
どのようにしたいのか?

少ない投資で高い効果を
予算内での解決策を模索

前年に乾燥機は更新していたことから、当初、改築・更新対象となったのは、貯留ホッパ、搬出コンベヤ、造粒機の3点だった。とはいえ、財源には限りがある。対象設備を過度な乾燥汚泥が招く問題を解決する仕様に取り換えるには、予算を大きくオーバーしてしまうのは明らかだった。そこで、「よりよい解決策はないか、上流の工程から見直すことにしました」と語るのは、同プロジェクトを牽引した中川嘉文施設部次長。そして、効果的な対応策を探る中で見つけた一手が、乾燥機の投入口の改造だった。
当時、汚泥は自重でちぎれ落ちるように、球形の固まりとなって乾燥機内のドラムに投入されていた。通常ならば汚泥は回転しながら中央部に引き込まれていくが、固まりとなっていたことからうまく入らず、ドラムの上部に長時間とどまることで、過度な乾燥を招いていた。そこで、中川次長を中心としたプロジェクトチームでは、乾燥機投入口の形状改造を模索。さらに、後工程の設備に関しても予算内で収める道はないかを探った。

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WHAT
CSEが提供した手段とは?

投入口を扁平に改良し、
更新対象設備を再確認

費用を抑えながら、最大の効果を上げる。この命題をクリアするため、貯留ホッパ以降の設備を更新する前に、CSEは少ない予算で対応できる乾燥機への投入部の改造に着手。投入部を扁平に薄くすることでドラム内に入りやすいように工夫した。その結果、過度の乾燥を防ぐことができ、ブリッジなどのトラブルは解消されたという。
さらに、現場を調べ、維持管理者からヒアリングを進める中で、更新時期に差し掛かっていたとはいえ、汚泥搬出コンベヤに不具合がないことが分かった。設備メーカーにも状態を確認してもらい、「現状はまだ問題ない」とのお墨付きを得たことから、更新は貯留ホッパと造粒機にとどめ、コンベヤは一部改造とする計画へと変更した。
とはいえ、本来は対象だった機器を更新せず、対象外の乾燥機を改造することになる。「最善策だとしても、珠洲市や関係者の皆さんに同意してもらわなければ進めることはできません。何度も足を運び、丁寧に説明し、了承していただきました」と中川次長。もちろん、長年にわたって築いてきた信頼関係も今回のプロジェクト成功には欠かせない要素だったと言えるだろう。珠洲市の処理施設では、CSEの計画をもとに2022年度に改修・更新工事を実施。リニューアル後、かつて丸1日かかっていた作業が半日で済むなど、大幅な効率化と省力化につながっている。
問題の本質はどこにあるのか――。ホームドクターであるCSEの見極める力が、現場に革新を呼び込んだ。

INFORMATION

COMPANY

CSEは、創業75周年の節目を迎え、
世界を舞台にした、ソリューション提供会社として
“水で地域をデザイン”しています。
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BUSINESS

投資効果や地域特性を踏まえた水道事業から、
水道・下水道業務のさらなる効率化と
高度化を考えたシステムを開発しています。
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